MDAAD

プレターゲッティング治療

高機能性抗体によるピンポイント治療
従来法とプレターゲッティング法の違い
 今回開発する新しいプレターゲッティングは、イメージングを基礎とした高機能性抗体によるピンポイント治療法である。
 まず全身のがん細胞を正確にイメージングすることからスタート。次に、様々な局所治療法を選択でき、最も苦痛が少なく、効果の大きい治療法を選ぶことができるというもの。
 プレターゲッティング治療では、標的分子のあるがん細胞に選択的に抗がん剤を運ぶため、正常細胞にいく薬は少なく、副作用を最小にする。そのため、従来型の免疫反応に加え、アイソトープやトキシン、抗がん剤など、体調や個人の様子にあわせて、様々な治療薬を用いる事が可能になってくる(従来法とプレターゲッティング法の違い)。


副作用を大幅に減らすことが可能になる
プレターゲッティング治療法
 ポジトロン放出核種をラベルして用いるPETイメージングは、感度が高く位置情報が正確であることなどからがんの診断法として広く用いられている。脳その他の臓器への集積が高く、特異性が低い。
 これにくらべ、特異的抗体を使ってがんをラベルする「イムノPET」では、がん部への高い集積性が得られるが、抗体が高分子のため、抗体分子に直接放射性物質をラベルした場合、被ばく量が高くなるのが問題である。
 開発中の「プレターゲッティング法」では、1stステップで非標識の抗体を投与し、1~3週間後、がん部に抗体が集積し余剰の抗体が血中からクリアされた後に、低分子の放射性物質を投与する。
 低分子はすみやかに腎臓より排出されるため、被ばく量を抑えることができる。この場合、1stステップの抗体分子と2ndステップの低分子とが効率よく結合する仕組みが必要で、抗体にストレプトアビジン(SA)、標識化合物にビオチンを使用している(プレターゲッティング治療法)。
 この手法を成功させるためには、抗体が高親和性で安定であることが必須である。本研究では、このスペックを満たす抗体を分子設計する。
 MDADDの研究者はゲノム抗体創薬の経験から、いち早くイメージング抗体創薬を提案し、抗体免疫PETで、Cu64の高純度化、内視鏡感知器の発明による感度上昇など、世界トップレベルの抗体イメージングの撮像を進めてきている。
 人体外からは現在、実質3mmの腫瘍が認識できるが、それを体外からでも2mmの腫瘍が識別できるようにする(連携プロジェクトでは内視鏡での近接で陽電子を検出する感知器を作成中である)。プレターゲッティングで洗い出しの時間を十分とり、ノイズレベルを下げることにより、弱いシグナルの検出感度をあげて、1mmの腫瘍塊を検出できることをめざす。これによりリンパ節転移などがかなり正確に評価できるようになる。